ゆるキャラ


それは数日前。


「サッちゃん、ゴボウだけだとインパクトが弱いんだよね、インパクトが。だから昨日、寝ずに考えたんだけど、ゴボウは未来の食べ物という設定にしよう。未来から操られてやってきた、ゴボウ星人。昔、ある人間に助けられて、恩返しをする為、やってきたんだけれど、途中で敵に捕まって、操られてしまった。それでもなんとか、身体に良いゴボウを食べてもらいたくて、この町にやってきたんだ。全住民にゴボウを食べてもらうのが使命なんだが、操られているから、自分の意志とは関係なく、人間を襲ってしまう。ゴボちゃんは、そんな矛盾した思いと戦う、孤高の戦士なんだ」


石田先生の熱弁が続く。


仮お披露目に、タイツ姿でそれを聞いている私。


「あの、じゃ、誰が操るんですか?」


「あ、僕やる☆」


やりたかっただけかよ‼


なんてことは口に出さず、黒子に変身した先生と、二人羽織みたく現れた次第でございます。


そりゃ、不気味だろうよ。


「えー、じゃ、ゴボちゃんに、我が町自慢の、ゴボウ料理を食べて頂きましょう‼」


「ゴボゴボ」


「まずは、ゴボウといったらこれでしょう‼ゴボウの、カルボナーラです‼」


きんぴらだろーが‼


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