お前のすべてを愛してやる【完】
「でも、大倉くんはまだ亜矢乃のこと……」



真琴が話し終わる前に、亜矢乃は肩を叩いて指をさした。



「あ、先生来ちゃった?じゃぁ、またあとでね」



亜矢乃がニコリ微笑むと、真琴は自分の席へと戻って行った。



やがて生物の金井先生が授業を始めた。



金井先生は、おじぃちゃん先生で人にあてることもなく授業を進める。



考え事をするには、もってこいの授業だ。



でも今は、そんな時間すらいらないんだけど…。



わたしと衣月くんは、一ヶ月前に別れた。



原因は、わたしの一方的な理由で。



最後まで〝認めねぇ〟と彼は言ってたけど、わたしが無視をするから最近は会いに来ることもなくなった。



好きで無視したわけじゃない。



声が出なくなった。



ストレスや精神的なことが理由だと言われた。



衣月くんは、それを知らない。



知ってるのは、家族と達兄とA組担任の村上先生とカウンセリングの三宅先生だけ。
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