Sympathy For The Angel
金曜日の学校は億劫だから行きたくない。

それでも頼んでないのに朝が来るもんだから、こうして渋々起きて身支度を整えるしかないわけだ。


メイクとかめんどくせーな。もう化粧水つけただけで良くね?

若いのに朝から溜め息つきながらアイライン引く女子高生ってどうよ?すっかりオバサン臭くね?


もう一度、盛大に溜め息をついて、私は家を出た。



学校に着くと、校門の前で一つ下の学年の真依が待っていた。

私に気が付くと、真依は仔犬のようにパタパタと駆け寄って来る。


「おはよーございます!椿さん!」


うん、真依は今日も可愛いな。

化粧いらずの卵肌、色も白くてマスカラもアイラインもつけてないのに睫毛は長いし目はぱっちりしている。

「おはよ。元気だねぇ。司となんかイイ事でもあった?」

「ないですよぅ!てゆか、司君は昨日、ヒロさんに呼ばれて繁華街の方を見回ってたらしいんですよね…」

「ああ、あれからね」


真依の彼氏の武原司(たけはら つかさ)は、紅蓮の№3を張っている。

ちなみに私と樹、エリカとヒロは同級の高2だが、真依と司は一つ下の高1だ。


「あれからって……。昨日何かあったんですか?」

「繁華街にbeastの奴等が乗り込んで来てた。ま、偵察みたいなもんだろうけど」

「……椿さん……」


真依の顔が曇る。

今のところ、ヒロと司は樹のホストクラブにはホストとして出ていないようで、それだけがせめてもの救いだ。

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