Sympathy For The Angel
無意識に制服のポケットからタバコとライターを取り出して火を点けて違和感を感じた。

そういやマルボロのメンソールが無くて、新商品のやったら細くて軽いやつ買ったんだっけ。

こんな不味いタバコ、二度と買わない。

軽すぎて吸った気、しないだろ。


ああ、ストレス解消の為に吸ってんのに、余計苛々する。



吸いかけのそれは二口ほど口に含んだだけで、長いままもみ消してやった。



「椿!ここにいたん?」


ツレのエリカが、ここ、校舎の屋上に顔を出した。


「どした?なんかあった?」


あくまでポーカーフェイスは崩さず、エリカの方に向き直った。


「椿が今日はさ、帰りはどっちに寄るのかなーと思って」


あそこには、正直言って行きたくない。


「……うちらのホームの方かな」

「あ、やっぱ、そう?」


エリカは知ってる。


私が樹達の溜まり場に行きたくない訳を。


「でも、さ。そろそろうちの下のコ達も、我慢の限界みたいなんだよなー」

エリカの言いたい事もよく分かる。


下のコ達の悩み、それこそが今の私を煩わせている原因なのだから。


「近いうち、樹に直接言いに行くよ」


吸いかけたタバコを投げ捨てて、私は屋上を後にした。





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