【続】朝の旋律、CHOCOLATE


イガラシさんから電話が来たんだ。
蜜ちゃん帰ってる?って。



「…なに、か不備…、ありました?」


急に込み上げた羞恥心に、もう大丈夫、と。

そっと哲の胸を、押した。


哲はわずかに体を離したけれど。
じっと私の顔を見て。
緩く、大きく、抱え直すように、その胸に私を押し付けた。



「いや、不備じゃあなくて」

狭山さんにずいぶん叱られてたみたいだし、様子がおかしかったから心配になって、ってね。


……悪かったなあ、まさか社長がウロウロしてるとは思わなかったんだ。

久志くんが回って無い所ならば大丈夫だと…思って…。



「みちゅ、申し訳なかったね」



婿様は。

私が、この数日、何も相談しなくなっていた事など無かったかのように。



「哲も、悪かったね」



哲だって、不機嫌そうに黙ってるだけだったはずなのに。



婿様は、そうやって。
いつも私達を、甘やかす。



< 197 / 422 >

この作品をシェア

pagetop