【続】朝の旋律、CHOCOLATE


……はずかしぃね、哲。
…そうだね。

つーか、…ごめんね?
…うん、俺も。


「……ごめん、な」



ふわりと。
哲は、私の唇を掠める。

婿様が見てるのに。



茶化されて然るべきシーンだったと思うのだけれど。

婿様は、ほっとしたように笑っただけで、うちの工場の駐車スペースに、車を停めた。



乱れた呼吸は、火が消えたように落ち着いて。

痺れて感覚を無くしていた指先は、哲の肌に触れて、血が通う。



私の、居場所。
哲の、居場所。

どうしてあんなに怖かったのか、と不思議に思うくらい、色んな事が“大丈夫”だと思えた。




それに。



「遅っそい!!」


ああ!蜜ちゃん可哀想に!こんな青い顔して!

可愛いばっかりにひどい目に遭わされて!!

怖かったわね!!
もう大丈夫!!!

わたしが行って、ぶん殴って来るから!!!

ほんと、うちの男共は融通が利かないんだから!!!




哲から奪い取るように、私を抱きしめて、婿様と哲とを睨み付けた、ちょっと久しぶりに顔を見た気がする…


我が女社長の、思いも寄らなかった、大憤慨。



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