【続】朝の旋律、CHOCOLATE
狭山久志は、傷害での逮捕のあと、色々な細かい罪での逮捕を重ねられて、あのまま、まだ釈放されていない。
郵便受けへの器物破損だとか、下着や郵便物や、ゴミに対する窃盗だとか、ベランダへの侵入だとか…色々。
殺人未遂も付けば良いのに。
狭山の社長は、収監こそされていないけれども、婿様の録音したものが役にたったのか、書類送検されていて。
親戚が、役員の大半を占める狭山工販は、一時的にうちを遠ざける素振りを見せたけれども。
狭山の社長のお父さん、狭山久志のお祖父さんである会長が、昨日、うちの社長に頭を下げに来ていた。
こんなもの、失礼かとも思うけど、と。
化粧箱に入った米沢牛を、人数分置いて。
全ての顧客と直接取引するのだけは、止めて欲しい、狭山工販が潰れてしまう、と。
きっと、そんな事はないはずだし、うちの社長も、そこまでのつもりはしていなかったと思うけれど、狭山の会長は。
私と哲とに、深々と頭を下げて。
久志が出てきたら、神戸の営業所に遣りますから…どうか、今まで通り、お願いします、と。
疲れた顔で、そう、言っていた。