桃橙 【完】
それだけでゾクゾクと快感が背中をかけ上げる。


自分にこんな性癖があったのかと、今更ながらに思う。


自分から震える唇を開いて、安芸の舌が自分の唇を舐める。


それがたまらなく気持ちいい。



「安芸…」



自分も唇を開いて、安芸を受け入れる。


安芸の全てが、自分のものになればいい。


そんな狂気的なことまで思う自分は、安芸なしではもう生きていけないんじゃないかと思う。


安芸の体を抱き寄せて自分の膝に乗せて、何度も掻き抱いて唇を貪る。



「あ、…総さ…ぁ…」



そのまま、頬に、耳に、首筋に唇を這わせる。


これで最後までできないだなんて拷問だと、最初は思っていた。


けれど…



「あ…総さん…」



僅かに腰を揺らしながら、もどかしそうに俺を真っ赤な顔で見つめる安芸にわざと余裕の笑みで返す。



「なに…?」



わざと耳元で厭らしく囁き、耳の奥へ奥へと舌を絡める。



「あ…あぁ…」



厭らしい水音を、執拗にわざとたてて安芸を責め立てる。
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