桃橙 【完】
その襖の向こうで―…


遙はずっと、小さな鍵つきの箱を開けて何度も中にある手紙を読み返していた。


安芸がいなくなってから、どうしても行方が掴めなくてわらを掴む思いで安芸の部屋で休んだ。


そして、安芸の部屋に何か手ががりがないかと探すと


引き出しから、昔自分が安芸にプレゼントした鍵付きの宝箱が出てきた。


…鍵はどこにあるのか探し当てて、少しだけさび付いた音を立ててその宝箱は開いた。


そして、その中身を見て遙は―…



「安芸…っ」



不覚にも涙を零したのだった。
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