桃橙 【完】
宝箱の中身は、自分が安芸に当てた手紙と贈り物ばかり。


小さな飴玉やネックレス、自分が送ったものは一つも手をつけずに大事そうにしまってある様に…遙は胸からこみ上げてくるものを止めることなどできなかった。


そして、手紙でさえも…一つ残らずとってあったことに…


遙は、嗚咽を上げて…泣いたのだった。


外国から送ったエアメール。


そして、小さな頃まだ物心ついたかつかないか頃のメモ帳になぐり書きしたような手紙。


……最後になってしまった、こないだのメモ…。


どれも全て、大切にとってあったことに、遙は自分の愚かさに体が震えた。


どうして、父に勧められるままに海外へと行ってしまったのか。


あの時は、早く安芸を自由にしてやりたかった。


自分のこの手で。


けれど…今なら、今だったらその決断が間違っていたと心から言える。


何を捨ててでも安芸の傍にいていれば…


安芸は、こんなに傷つかずに済んだのかもしれない。


そう思わずにはいられなかった。
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