静かな涙【完】
『んあ~いいお天気っ!空気も美味しい~』



お姉ちゃんは車椅子に乗ったまま、手を上げて深呼吸していた。



『久しぶりでしょ。お姉ちゃん、ここ来るの』



『えぇ。すんごい久しぶりっ!』




浩司さんも優しく微笑んでいて、
お姉ちゃんの車椅子をゆっくりと押していた…




お姉ちゃんの笑みを見ると、
私の顔からも自然と笑みが零れ落ちる…



でも…



これは偽りの自分であって…




私は、仮面を被っているのかもしれない…




そして…




お姉ちゃんも薄々気が付いているのかもしれない…



私の仮面を被った姿に…




私は、さっきのお姉ちゃんの表情が物語っている様な気がした…



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