椿山亜季人の苦難日記
「あ、しわよってる。」


「うぇっ。」


図書室で、料理本を眺めて顔をしかめている千歌ちゃんを見つけた。



なんとも奇妙な光景だ。



眉間のしわを指摘すると、変な声をあげてこちらを見た。


…面白い。



「何か作るの?」


「ケーキ!ケーキを作ろうと思っているのだよ!」


自信満々っといった表情で、完成例の美味しそうなケーキを見せつけてきた。


ほぉっ!また大それたことをやりますなぁ!

ていうか、声でかいから!


「ほぉ~、すごっ。」


「ねっ、アキさん!女の子っぽいかね!?」



だから声でかいって。



「うん、女の子っぽいよ~。」


緩く微笑みながら俺が返すと、千歌ちゃんは明るく笑った。



へぇ…めずらしく素直だ…。



頑張ってるんだねぇ、本当に。


梅田のために。


< 115 / 169 >

この作品をシェア

pagetop