椿山亜季人の苦難日記
「あー!俺、もうだめかもっ!」

屋上の日陰に寝そべって、亮介くんがうなった。
彼が落ち込んでいるのは、今日、全国模試の結果が出たからだ。

「第一志望がD判定って、ホントどうしようだよ!アキさーん、助けてー!」

「やだっ。」

まとわりつく亮介くんに、亜季人くんは、さもうっとおしそうにしている。

「アキさん、お勉強できるじゃん!すでに難関大A判定じゃん!せめて夏だけでも、合宿を!」

「本気でイヤっ!」

その様子に見かねて、千歌が亮介くんに鼻フックをかけて、亜季人くんから引き離した。

「いでででっ!」

「暑苦しいことするな!おまえはの〇太か!!」


「てめ千歌っ!そういうこと平気でするなよ!いってー…。」

「平気じゃないっ、汚ねぇっ、かなり不快!!」

「はい、千歌ちゃん、ティッシュ。」

「はい、どうも。」

ゆるい口調で、亜季人くんがティッシュを一枚手渡した。

「あからさまに汚い扱いするなぁ!」


『だって汚いもん。』


泣き付く亮介君を、声を揃えていじめる千歌と、亜季人くん。
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