湊くんの秘密。




『ん、別に用っていう用はないんだけどー』

「えっ、そんな、わざわざ電話ありがとうございますっ」

『いいの。俺が勝手に電話してるだけだから』



電話の向こうで、湊くんが優しく笑っているような気がして。

それを見れないことが、少し悔しい。



『で、そろそろ敬語?丁寧語?やめない?』

「あ…っ、」



そこであたしはやっと気づいた。

湊くんに対して、敬語だったこと。

でも、一応年上だし…って思うのはあたしだけだったのか…。



『俺の彼女でしょ。蘭ちゃんは』

「はぃ…あっ、うん…」



未だに慣れない。

湊くんの口から、あたしの名前が発せられてること。



何度も何度も呼ばれているはずなのに、名前を呼ばれるたびに

顔が熱くなる。



< 31 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop