湊くんの秘密。
『ん、別に用っていう用はないんだけどー』
「えっ、そんな、わざわざ電話ありがとうございますっ」
『いいの。俺が勝手に電話してるだけだから』
電話の向こうで、湊くんが優しく笑っているような気がして。
それを見れないことが、少し悔しい。
『で、そろそろ敬語?丁寧語?やめない?』
「あ…っ、」
そこであたしはやっと気づいた。
湊くんに対して、敬語だったこと。
でも、一応年上だし…って思うのはあたしだけだったのか…。
『俺の彼女でしょ。蘭ちゃんは』
「はぃ…あっ、うん…」
未だに慣れない。
湊くんの口から、あたしの名前が発せられてること。
何度も何度も呼ばれているはずなのに、名前を呼ばれるたびに
顔が熱くなる。