*RewindinG*
僕と涙が出会ったのは高校に入ってすぐのことだ。

僕は時耶達と移動教室で音楽室に向かう途中だった。

偶然にも僕、時耶、亮輔は同じクラスの2組になった。

憲太だけが別の4組になった。


そしてまた、偶然にも音楽室は僕らが来る前まで4組が使ってたようだ。

ちょうど僕らはが室に入るとき憲太と会い、『頑張れよ』とだけお互い言い合い別れた。

教室に入ると2組の子はまだ殆ど来ていなかった。

でもまだ残ってた4組の女子が楽しそうにキャーキャー騒ぎながら教室の隅で輪になっている。


「なな、あの子可愛くない?」


亮輔が僕達に指でちょんちょん突っつきながら女子の方を指差す。

でもこの距離では指差しているのが誰か見極めるのは難しい。


「あ?どれだよ?」


時耶は目を凝らす。

それにつられて僕も目を凝らす。


「ほら、あの子」
「ストレートの髪で手を口に当てて笑ってる子」


亮輔のその説明で僕らはやっとピンときた。

そして、その子が涙だった。


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