恋愛ターミナル

「こ、晃平さんて……明日……ていうか、今日は――」
「あ。ああ、いいよ。大丈夫。気にしないで」


や、やっぱり……!!
だって確かさっき、土日とかは仕事だって言ってたし!
今日は土曜日。てことは、日曜の明日も仕事じゃない!

真っ青になった私の顔を見て、晃平さんは頭にぽんぽんと大きな手を乗せた。


「遅番だし。いつもそんな早寝してないし、いーんだよ」
「で、ででででも……」
「はははっ、どもりすぎ!」


ひとしきり笑ったあと、晃平さんが、じっと私を見て穏やかに言う。


「亜美ちゃん、少しすっきりした? もう平気?」


あ――――そうだった、私……。
二人の結婚に一人晴れない気持ちでいて、暗くなってたんだ。

だけど、泣いたらだいぶすっきりした。
このままなら、案外早く、吹っ切ることが出来る気がする……ううん、吹っ切らなきゃ。

それもこれも、晃平さんが私の中の膿を全部出してくれたからだ。
裕貴さんの友達の晃平さんにこんなことが知られてしまってちょっと不安だったけど、でも、晃平さんならきっと大丈夫だ。


「はい。本当にありがとうございます」


その日、初めて、心から笑って晃平さんにそう言った。

店を出ると、自分の記憶では人で賑わっていたはずの街なのに、ちらほらとしか人が見当たらなかった。



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