恋愛ターミナル
「あ、もうメシの時間か。えぇと、なんだっけ」
「え?」
「あーあー、あ、あずさ!」
「はい?」
え? なに? ちょっと、急に呼び捨てにされるとさすがの私もドキッとしちゃうんですけど。
なんか、いちいち今までの平岡さんと違ってみえて、やりにくい。
「昼って、もう終わった?」
「いえ。今からですけど」
「じゃあ行く?」
「……『行く』ってどこへ」
こういう話し方とか、ゆうとくん相手だけのテンポなのかと思ってたけど、もしかして普段から?
ぐいぐい引っ張られる話の内容と、絶対歳上のはずなのに、学生かのようなノリ。
どれにも遠のいてる私には、当たり前だけど全然ついていけない。
「ここからちょっと登ってったら、いい景色みながらメシ食えるとこあるから。コンビニ寄ってって。どう? お礼に奢るし。コンビニだけど」
なんか、すごい、この人。
うまく言えないけど、力があるっていうのか、惹きつけるものがあるっていうのか。
『NO』って言わせないなにかを持ってる。
「よっしゃ。じゃ、準備すっか!」
「え? まだなにも……」
「え? あ、無理?」
「や……行けますけど……」
「ぶはっ。なんじゃそら!!」
明るい笑いで突っ込まれた私は、意気揚々とどこかへいなくなる平岡さんを目で追った。
きっと、平岡さんて、先のことを考えたり気にしたりするタイプじゃないんだな。
本能のまま、っていうか。
「あずさ! 乗って」
「――ええっ」
彼の分析をしていると、いつの間にか外にいる平岡さんが私を呼んだ。
振り向くと、また私を驚かせる。