ココロクスリ

後から真由さんに聞いた話では、
未成年だということで書類に保護者のサインをしなきゃいけなかったらしく無情にもサインはヒデがしてくれたらしい。

どんな気持ちでサインをしたか、考えただけで身を切られる思いだった。


手術室に入り点滴から麻酔をされて酸素マスクをされた。

『10数えますから意識がなくなってきたらそのまま目を瞑って下さい。大丈夫だからね。』

手を握りしめながら看護婦さんがそう言ったのを最後に私の意識は遠ざかった。


遠ざかった後、長い夢を見た。

広い草原を駆け回る小さな女の子。

追いかけても追いかけても笑いながら遠ざかる女の子。


『お母さん大好き』


そう言って空へと駆け抜けた女の子。



11月17日。

あなたは星になりました。


私は今も命日には空に祈ります。

どうか笑っていてね。

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