【続】クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
そんなことに今さら気づいたあたしは、家族に見られていないか仕切りに辺りを見回す。
……だ、大丈夫。誰も見てない!
ほっと一息ついて冷静になったところでもう一度。家族に見られるより大きなことを思い出した。
と、止まんなくなりそうだったからって……!
先ほどの山田くんの発言を思い出し、火を吹くように紅潮する顔。
両手で頬をおさえて、上目遣いで山田くんを見つめる。
山田くんはそんなあたしの反応がおもしろいのか、楽しそうに口元に弧を描いて見下ろしていた。
……え、S山田くん復活……!!
「うぅ……っ」
「……ははっ」
妖艶な笑みに勝てる訳もなくて。
笑いを堪えて頭を撫でる山田くんを弱々しく睨むも、全く効果はない。
最後にまた笑った山田くんは、あたしから手を離して言った。
「……じゃあ、行くね」
「……うん。ありがとう」
今度は、心から笑って手を振れた。
山田くんの気遣いが嬉しくて、自然と手の振れ幅も大きくなる。
両手を目一杯広げて手を振るあたしを、山田くんは何度も振り返りながら、手を振り返して帰って行った。
後ろ姿が見えなくなるまで見送り、その場でよしっ。と気合いを入れたあたしは、
「ただいまーっ!」
そう元気いっぱいに叫びながら、玄関のドアを開けた。
――キュン死にデートday*end――