アイノカタチ
ピト。
「うっ、わっ!……冷たっ!」
私は、考えに夢中になっていたため、頬に当てられた冷たさに、大げさに反応してしまった。
「ん、水」
「…………あ、ありがとうございます」
私は、頬をさすりながら横に座る社長へ礼を言った。
………………ん?
ちょっと待って。
「なんで社長が私の部屋に?」
今までなぜ疑問には思わなかったのか。
不思議。
今私が居るのは、見慣れたベッドの上。
かわいい花柄の。
だから、見知らぬ部屋にいる訳ではない。
社長が、私の部屋にいるのだ。
「お前、覚えてねぇ~のか?」
「はい?」
私は何を?と首を傾げる。
「お前、先に潰れて寝てたんだよ。
帰る頃揺すってもなかなか起きないから、3人でお前の家まで一緒に来たんだが。
俺の首に腕を巻いたまんま離れないもんで?
仕方なく月希達は帰して、俺はそのままお前のベッドでご就寝したんだ。
まったく、誘ってんのかと思ったぞ」
「んっ、なっ!」
社長の言葉に私は顔が熱くなる。
「は!ま、まさか!」
私は慌てて確認!
うん、大丈夫みたい。パンツ履いてるし痛くない!
「馬鹿かお前は」
バシン。と頭を後ろから叩かれた。
「いだっ!だって」
「俺はそこまで落ちぶれちゃいねぇ~よ。意識ないやつ抱いたって楽しくもねぇし。
お前みたいに気の強い女は好みじゃない」
「………………なんか、フクザツ」
私は、むくれる。
勝手に抱かれたワケじゃない事には喜ばしいことだけど。
なんか。はっきりと女としての魅力がないと言われてるみたいで。
「……………なんだ?もしかして」
「へ?」
社長は、ニヤニヤしながら私に顔を近づける。
「抱いててもらいたかったか?
何なら、今からでも…………」
と、言って私の肩をだき寄せようとする。
私は、それを阻止するため社長の頬に思いっきりバチっとパーをぶつけてやった。
「社長、言ってる事とやってること違います。
好みじゃないのは好都合。
冗談でも、気持ち悪い言動はお控え下さい」
私は、真顔で言い放つ。
社長は、そんな私の言葉に眉間にシワを寄せる。
「気持ち悪い?」
社長は、納得いかないご様子。
私はツンとした態度で「そのいやらしい顔が気持ち悪いです。近づかないで下さい」と、更に突っぱねる。
それに社長は、面白くないと言ったように体を離し、ベッドから降りた。
「お前は本当に可愛げがない。
彼氏なんかできないんじゃないか?」
嫌味ったらしく言う。
「ご心配ありがとうございます。
その内、できますので」
私はにっこり笑いながら言う。
「……………そうか。
兎に角、それ飲んだらとっとと昼食作れ。
腹へった」
少し不機嫌そうにそう言う。
「……………へ?昼食?」
聞き間違い?
私は、ポカーンと社長を見やる。
「馬鹿面。
もう昼だ。この寝ボスけ」
「……………っっっっ、うっそーーーーーー!」
< 19 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop