君がすき
「…今、人のこと笑ったでしょ?」
「笑ってねぇ」
口を覆いながらそう言うものの、久富の視線は不自然に泳いでいる。
「どうせ、よく食うな、このデブとか思ってたんでしょ」
「んなこと、思ってねぇよ」
「じゃあ、なによ?」
「別に……。幸せそうな顔して食うなーって思っただけだっつの」
真っ直ぐな目で見つめられながら、久富がボソッと言う。
相変わらず口元を手で覆ったままだからわかりにくいけど、頬も、なんとなく少し赤い。
あたしは一瞬ポカンとすると、ジーッと久富を見つめ返した。
「……久富、熱でもあるの?」
「……は?」
「だって、久富が優しいし、暴言はかない…!!」