君がすき
真顔で見つめ返せば、久富はプルプルと震えながら、背後には殺気が漂う。
そして、バッと顔を上げたかと思うと、鬼の形相で睨まれた。
「てめぇ、チビかバカか鈍いか、どれかにしやがれ!!なんで三拍子も揃ってんだよ!?」
「久富だって、いっつもチビチビ言うし、あたしのことバカにするじゃん!それに、この前聞いた好きな子の話だって、はぐらかされたままだし!!」
「おま……っ、今、それ言うか!?」
お互いに立ち上がりながら、ゼーゼーと息を切らして睨み合う。
そうだ。
好きな子のことを聞けずじまいだった翌日、あたしはちゃんと聞きに行ったのに、
久富は人気キャラクターや女優の名前を言うだけで、全然教えてくれなかった。
「なんであの日は言いかけたのに、次の日から教えてくれないのよ!?」
「んなの、心の準備ってのがいるに決まってんだろ!?」
「そんなの、男ならズバッと言っちゃえばいいじゃんか!」
「それは男に対する偏見だっつーの!!」