君がすき
はっはっは、と笑いながら言うまっつんを無視して、手を振る早瀬を背に、足早にその場を去る。
すると、不意にひらめいたように、まっつんが「あっ」と呟いたかと思えば。
「早瀬っちー!イズヤンの好きな子は、髪が長くて、ちっちゃい子だよー!!」
「……っ!!?ちょ、まっつん、てめっ……!!」
「えっ、ホントー!?」
慌ててまっつんを黙らせようとしたものの、間に合わず。
まっつんは大声でそう叫ぶと、パッと顔を輝かせた早瀬に腕で大きな丸を作ってみせる。
そしてくるっと俺の方に振り返ると、あはっと明るい笑顔を見せた。
「これで、相手が男だと思われることもなくなったよ!よかったね!」
「…………」
「あれ?イズヤン、顔、真っ赤だけど、大丈夫?」
「……誰のせいだと思ってんだ、誰の!!」
言われなくたって、わかってる。
全身の熱が顔に集中してるみたいだ。
「………あつ…」
見上げた空には、俺の気持ちもお構いなしに、ジワジワと照りつける太陽。
俺は大きなため息をついた。
