腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
ハロウィーンってアレだよね、お菓子くれなきゃイタズラするぞ、ってやつ。

……隼人にもこれあげたら、あのふざけた態度やめるかな。

…………いやいやいや、そんなことでやめるほど、生ぬるくないからなヤツは。



「あ、松井くんと大鷲くんだ」



南が前を見ながら呟いた言葉に、ピクリと反応する。

あかりはさっと、南の後ろに隠れた。

彼女の心情を知ってか知らずか、南は片手をあげて前方の男子ふたり組に合図する。



「おーいふたりとも」

「よー仲沢に……ぷっ、東堂」



笑ったコイツ笑った。

教室内外でもよく隼人とつるんでいる松井 俊介は、ヤツの友達というだけあってなかなかにイイ性格をしている。

なんていうかアレ、まさに『類は友を呼ぶ』。



「と、東堂はもう大丈夫なのか……?」

「……オカゲサマデ」



必死に笑いを堪えている様子の松井に、ボソボソこたえる。

そしてあかりはちらりと、南と話している隼人を見た。
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