腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
「ふたりはどこ行くの?」

「自販機。さっきの体育マジ疲れた」

「ははっ、男子はバスケだったもんね~」

「あの鬼ハゲ教師、残り少ない髪をむしり取ってやろうか」



……よかった、もう変なことは言わないようだ。(ある意味変っていうか危ないけど)

いつもと変わらない様子の隼人に小さく安堵して、むしろあれは夢だったんじゃないかと思い始める。



「(……そうだよ、あんなのはきっと、ただの悪夢だったんだ──)」



その後すれ違い様に、隼人があかりにしか聞こえない大きさの声で、何事かささやいた。

彼女は目を見開き、思わず隼人の顔を見る。

そこには、いつもと同じ嫌みたらしい微笑み。

それを見た瞬間あかりは顔を真っ赤にしながら、南の手を掴んで猛然とどこかへとダッシュ。

隼人は訝しがる松井も気にせずに、肩を震わせながら笑いを堪えていた。




『お大事に~マイスイートハニー』






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