10年後のタイムカプセル
「ねえ、またどこかで会えるかしら」昼休みが終わり、店を出ると川村は急に話し出した。
「同窓会もあるから、その時に合えると思う。それに」タイムカプセルを埋めた日に来いよと言おうとしたが、やめておいた。
「どうしたの?」川村が、不思議そうに顔を覗き込んだ。
「いや、なんでもない。じゃあな」あわてて挨拶して、川村と別れた。
(あいつら元気だろうか?)ふと、拓也と千華、ふたりの顔を思い起こした。
(8月に、そろうと良いな)ひんやりとした地下鉄の階段を下りながら、タイムカプセルを開ける日を待ち望んだ。
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