女神の纏足

無題




「二人ともあり得ない。」



夜会も終わりを迎え、私とユルは廊下を歩いていた。



「二人の世界に入るのはいいけどさ、ちょっとは周りのこととか考えようよ。」


「…はい。」


「あんな深刻そうに話してたら何かあるって言っているようなもんじゃん。」


「う…」


「それにさ、アリス様の気持ちも考えようよ。目の前で婚約者がほかの女と親密にしてるとかいやじゃん。」


「…」


なにそれ…。



「ダンスの時も憐れんだ目で見られてて、結構つらそうだったし。」


「…」


「聞いてる…ってなんでそんな拗ねてるんだよ。」



「…あたしだって、」


そこまで言って言葉に詰まる。



「…あたしだって、なに?」


「別に。」


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