女神の纏足



あたしだって、憐れんだ目で見られたし。


あたしだって辛かった。



なんて、自分勝手だって分かってる。



「言わなきゃ分かんねぇよ?」


ただの我儘だって分かっているから口を閉じたのに、



「…私だって憐れんだ目で見られたもん。」


やっぱりユルは聞き上手だ。



「…私がアリス様の気持ち考えるの?アリス様は私の気持ち考えてくれないのに?」


ほら、汚い部分がスラスラ出てくる。



「そらそうだろ。あそこは公の場。お前は愛人、あっちは本妻。ああいうところでは上の者を立てなきゃ。」


…全部正しい。正しいけど、



「私、愛人になった覚えない。」


「愛人だろ。本命がいるの分かってながら親密になったんだから。」


「でも!それはユニ様が…」


「…人のせいにするのはよくねーよ。分かってて乗ったのがお前だろ。」


「…うん。」

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