白いジャージとオレンジジュース
「徳田の気持ち知ってるんですよね」
俺は、言わずにいられなかった。
斉藤先生を信じて、嬉しそうに大和のことを話している徳田のことを思うと、黙っていられなかったんだ。
「新垣先生、ご存知だったんですか」
「いえ、何も知りません。でも、さっきこの部屋から大和が出ていくのを見てしまった。俺はそれしかわかりません」
大きく深呼吸した斉藤先生。
サラサラの髪。
いつもはひとつに結んでいる髪を今日はおろしている。
「好きになっちゃいけないって、わかってるんです」
泣き出した斉藤先生に、俺はどう声をかければいいのだろう。
痛いくらいに、わかる。
相手は生徒。
好きになってはいけない。
「好きだと言われたんです。最初は断っていたんですけど、知らないうちに私も・・・・・・」
生徒から告白されたからと言って、揺らいではいけない。
相手は生徒なんだから。
それは頭ではわかってるんだ。
でも、どうしようもなかった。
俺は、矢沢直を好きになった。
止めようと思ったし、考えないようにしようって思った。
だけど、そう思えば思うほど、直を好きになっていた。
いつも、直を探している俺がいた。