白いジャージとオレンジジュース





「俺も同じ頼みを力にしたいけど、まだ今の俺は無理だ。だから、また来るよ。そんな頼みごとができるくらい大きな男になれるように頑張らないと」





力は、大きな男なんかじゃないよと照れた。





俺と力は、ベンチにもたれて、白い雲を見つめていた。





流れる白い雲。



目を閉じる。



その一瞬で、姿を変える雲。





今は、今しかない。





俺は、もしも自分に何かがあった時、直に新しい誰かを見つけてくれ、と言えるだろうか。




俺がいなくなって、悲しむ直と空のことを思うと、新しいパパを迎えることが良いことなんだと、わかっている。



でも、それを望むことができない俺。






直が、違う誰かと恋をして、違う誰かと暮らす。




そんなこと、想像することもできなかった。






「和人、お前が長生きすれば何も問題ないんだよ」



「そっか。そうだな」



悩む俺を見て、力がそう言った。






「お前もな」


「ああ」




俺と力はまた、友情を深め合った。






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