ミステイク ラブ
ミステイク ラブ

失敗だらけの恋煩い

学校から帰って来て、着替えるよりも先にあたしには大事で、しなきゃいけない事があるんだ。




「ほーくーと。開けて!」



空に微かに見える夕日もあと少しでなくなりそう…。


そんな時間に窓を叩くなんて、小さい頃から当たり前だったんだ。




ベランダ越しのお隣の窓からは、あなたが寝ぐせのついた茶色の頭を出す。




「んだよ…。俺、寝てたんだけど」




それくらいわかっていますとも。


北人(ほくと)が昨日もサッカーの試合で遅くまで残っていたのも、頑張っていたのも…。



だから…今日こそは言うんだ!



可愛く、かわいく……。




「あー…。どうせ昨日遅くまでボール追いかけてたからでしょ」



口を尖らせて言って、いつも後悔するあたし。



バカみたい。



ただ「お疲れ様!試合どうだったの?」って聞きたいだけなのに、どうも別な言葉をしゃべる自分がいる。



「お前…頑張ってる俺に対する嫌味か?」



真っ黒に焼けた頬をかいた北人は、明らかに困った顔をしている。



でも今さら素直になんてなれないあたしは、




「別に―?そんなつもりないよ」



軽く笑って言ってしまうんだ。



ベランダにある柵を跨いで、北斗の家へとお邪魔するあたしを北斗は呆れた目で見ている。




「沙智(さち)、女ならパンツが見えるとかそう言うの気にしろよ…」



うっ…。ごもっともです……。




今のあたしは、学校の制服。


当たり前に短いスカートに、だらしなく上の2つのボタンが開いたブラウス。



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