ミステイク ラブ


北斗の言う事に、少し恥ずかしさを覚える。



でもこういう時でさえ、唇の紡ぐ言葉はヒドイもので。




「北人のエッチー!頭の中、そう言う事しか考えてないの」




なんて言ってしまうあたし。




「誰もそんな事思ってねえよ。しかも幼馴染のパンツなんか、小さい頃に嫌ってくらい見た」




サラリと言ってしまう北人に、あたしの顔は窓から覗く夕日のように赤く、赤く染まる。





見飽きたみたいな言い方…!


北人の変態。




でも小さな時の事でも、覚えてくれているだけでうれしいと思うあたしがいる。



遠い過去の事でも、北人の頭の中に少しでも残っていてくれるなら幸せな事だと思うの。




「沙智…?」



柵を跨いだまま突然動かなくなったあたしの手を、北斗の冷たい手が触れる。





その指先が、手のひらが触れるだけでドキドキとうるさい心臓。



北斗は、あたしの事なんてただの幼馴染としてしか見てないよね?



傍にいすぎて、意識なんてとうの昔にしなくなったよね?



でも…あたしはいまだに北人の事、意識してるんだよ。



触れるたびに鳴りやまない心臓に、言ってしまいそうな「好き」の2文字。




「沙智」



優しいその声に呼ばれるたびにうるさい心臓に、何度困ったと思う……?





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