三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
「こんばんは。今夜はこの娘に合う靴を見繕って貰えないかな。僕は女性の靴選びは苦手なんで、君に任せるよ。じゃいつものコーヒーをテーブル席に持ってきてくれたまえ。その娘の靴選びが済むまで僕は其処で休憩してるから」
  と言うとおじさまは美園の方に向き直り




「さあ、好きな靴を選びなさい。今夜は僕がプレゼントするからね」
  と言って美園の背中にそっと手を添え、バトンタッチするような形でもって、おじさまはその店員に美園を委ねた。




「えー。でもおじさまとは初体面だし、靴をプレゼントして貰う理由がありません」
  と言って美園がやんわり断ると




「良いんだよ。ちなみにこう言う風に男性から言われたら、素直に従うと言うのも大人としての分別のある優しさなんだ。覚えておくと良い」
  とおじさまは美園に優しく諭すように言った。
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