三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
「あっ、はじめまして。私美園の幼馴染みの錦小路七乃葉と申します。宜しくお願い致します」
  と七乃葉は言うと深々と頭を下げて、丁寧にお辞儀をした。




『申します』って……その言葉遣いはもしかしなくても、俺の一番苦手な究極のお嬢さま言葉なのでは?、しかも『錦小路』と言う名字は俗に言う、名家の象徴的?な名字だったよな?と思い、楓駕(ふうが)は怪訝(けげん)そうに、七乃葉を頭の天辺(てっぺん)から足元まで、食い入るように見つめた。




  一方七乃葉は切れ長の目をした丹精な顔立ちの楓駕を見て、『うわっ、めっちゃイケ面!それに背が高い。多分180センチ以上はありそう』と思い、『こんなに素敵な人なのに美園はなんで楓駕君を私に譲ろうとするんだろう?』と正直七乃葉は思った。




  まあ、美園が昔からおぼっちゃま嫌いなのは解ってはいたんだけれど。ちなみに美園曰(いわ)く自分はどんなに逆立ちしても、お金持ちのおぼっちゃまとは釣り合う訳がないと、自覚をしてるからだと言うのだが……。
< 61 / 179 >

この作品をシェア

pagetop