あの加藤とあの課長*SS集
恵也

皆に等しく時は流れる

高3、春。
桜の花びらが舞い散ってる。


中でも学校の校舎裏の桜は俺的に圧巻で、暇を見つけてはそれを眺めていた。

校舎に背を預けて桜を見上げると中からは気付かれにくい。


校舎内の喧騒をBGMにこうして黄昏れるのがわりと好きだったりする。



「まーたここにおったんか、恵也。」

「おー。」



俺の隣にドサッと倒れ込むように座ったのは、小学生来の付き合いのガンタ。

本名が元太(げんた)だからガンタ。
アホっぽいからぴったり。



「もー3年やなー。」

「おー。」

「んーっ…、進路考えなアカンなぁ…。」



伸びをしながらそう言うと、現実逃避気味に呟いたガンタ。

進路…か。
この頃耳にタコができるほど聞かされてる。


入学したのがまだ昨日のように思い出されるのに…。


目の前を通り行く新入生らしい男女2人組に目をやる。



「あんな時代があったなーとか思うわ、最近。」



そう呟いた俺の視線を辿って、ガンタは「あ」と声を漏らした。



「あれ、何やったっけ、えーっと…名前忘れたど、なんか生意気やいうて目ぇつけられてる奴や。」

「は?」

「なんか見た目派手やん。しかもごっつ目つき悪いで。」
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