君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
先日、なんとか実現させた解決祝いのときに、思いきって聞いてみた。



『私のこと、どう思ってます?』



新庄さんは、浴びるように飲んでおきながらけろりとしていて、私の質問に一瞬考えただけで応えた。



『正直、わからない』



大事にしたいと思うけど、それが部下だったからなのかほかの理由なのかは、わからない、とのこと。



『一緒にいると、おもしろくはある』



ため息が出た。

それじゃ、ちょっと前までの私とまったく一緒だ。

気長に待つしかない。


とりあえず今現在彼女がいないことだけは、本人の口から確認しておいた。

なにやってんだろう、私。


堀越由夏は、あの翌日から休職している。



『彼女と噂のあった何人かをたどってみたんだけどさー』



事の顛末を知った彩が言った。



『噂のもとを追ってくと、全部、彼女本人に出ちゃうんだよね』

『そっか…』

『ちなみに新庄さんと同じ高校ってのは、ほんと。彼女の方が一学年上』



なんと、年上だったのか。

多少思い込みが強すぎるきらいがあるとはいえ、あのきっぱりとして、なにがなんでも自分の筋を通すところは嫌いじゃなかった。

どこかでなにかが少しだけ違っていたら、仲良くなれたかもと思わないでもない。


そう言ったら、喉元過ぎればってやつだ、と新庄さんにあきれられた。

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