カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
まわりくどいのは、基本好きじゃない。
だけど、今まで自分で押してきた人生だから、こんな受け身の状態で聞くのは慣れてなくて内心緊張してる。
私の質問を受けた神宮司さんは、頬づえをついて、視線を斜め下に落とす。
そして、あの指。
もう片方の手で、テーブルに一定のリズムで指を叩く。
その姿で、彼は決して冗談や、からかってあんなことを言ってきたんじゃないことがわかった。
トン、と音が止んで、彼が言う。
「合理的……っつーか、いや。そういう言い方じゃヒドイな」
「うーん」とまた悩み、それでもきっと、今の彼の気持ちにぴたりと当てはまる言葉がなかったんだと思う。
たどたどしく、それでもどうにか私に伝えようと懸命なのがわかった。
「順番が逆だと言われたらそうかもしれない。けど、こんな始まりも悪くないんじゃないかと思って」
「『合理的』というのは?」
「ああ。ちょっと例えが悪かった。阿部は見た目も中身も、これからの人生を共に歩むのに申し分ない女性だと思う。
阿部とはついこの間まで一緒に仕事してたから、家族のように長い時間一緒にいて、どんなやつだか俺なりに理解してるつもりって感じかな」
だから、結局そういうことよね。
神宮司さんも、彼なりに私のステータスを計って選んだ。
「好きだ」という感情が先ではなく。そんな理由からだったら、普通の女なら平手打ちでも一発お見舞いして終わるでしょう。
だけど、私はそうできない。だって、私も同じだったから。
それに、冷静に判断して私を生涯のパートナーとして選んでくれたのなら、それはそれで案外気分は悪くない。