侍ヴァンパイア
お前の、涙をーーー初めて見た瞬間だったーーー

『キキ…キキキ…キキ…』



「苦しまないで…お願い…」



抱き締める化け物から、血と肉片がボトボト崩れ落ちて行くーーー



『キ…キキ…キ』



「もう、歌わなくていいから…」



歌う?…この化け物が…歌う…だと?



ーーーそしてーーーそのまま、俺と言う動力を無くしたソイツはゆうなの胸に抱かれ静に、消えて行ったーーー


その場にポスッと座り込むゆうなの後ろに、俺は立つ、



「キョウーーー?


ホントに私は、、、無力だね、、、何にも出来ない、、、」



涙を流すお前を、、、俺はギュッと抱き締めるーーー



「…誰だって無力な生き物、俺もお前も、、、でも、無力と知って初めて自分に出来る事が見えてくるもんだ、、、」



俺の言葉にゆうなは握りしめた掌のモノを見せた



「何だ?これ?」



「消えちゃう前に、私に握らせてくれたの…

何かわからないけど、届けたい、、、亀姫さんにっ」



ゆうなの小さな手をしっかり引っ張って、俺は闇の中を進んで行った



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