恋する季節 *- confession of love -*
彩乃の言葉の半分以上が悪口になってきた事に気づいて、最初は聞き流していた美琴もさすがに、と一言挟む。
彩乃は、悪びれる事なくふふっと笑うと、笑みを浮かべたまま美琴に聞く。
「彼氏をバカにされるとイライラしちゃう?」
「……多少は」
あら素直じゃない、と驚いた顔をした彩乃が、美琴の複雑な表情を見て、その理由に気づく。
「さてはあれでしょ。また告白するのに失敗したんでしょ」
彩乃がすぐにそれを言い当てたのは、美琴が大和に気持ちを伝えようとして失敗したのが一度や二度じゃないからだ。
週四の頻度で伝えようとしているのに、どうもうまくいかずに毎回失敗に終わる。
それを繰り返し続けて一ヶ月が経つのだから、彩乃にとってはもう恒例行事になりつつあった。
もちろん、当の本人である美琴にとっては恒例行事になんかするつもりもないのだけれど……。
できれば最初の一回で成功を収めたかったのに、運命のいたずらなのか高すぎるハードルなのか誰かの野望なのか、見事なほどにうまくいかないのだ。