恋する季節 *- confession of love -*


「まさか、俺よりおまえの方が美琴に合ってるとか言い出すつもりか? 
ふざけんなっ! 俺のいない間に美琴連れ出しやがって」
「く、黒崎……」
「優しい美琴に付け込んで、断られてんのにしつこく食い下がってんのはおまえの方だろ。
美琴を困らせんな」
「うるさいっ。俺の言っていた事は全部正論だ!
黒崎みたいにチャラチャラしてるヤツより、早坂さんには俺みたいな男の方が似合ってる」
「俺がいつチャラチャラしたんだよっ。顔がいいヤツはみんな遊んでるとか決めつけてんじゃねぇ!」

本格的な言い合いになる前にと、身体ごと振り向いた美琴が大和の服の袖をそっと掴む。
そして「大和」と、これ以上はもう、と注意する意味で名前を呼んだ。

それに気づいた大和は、今の今まで広田に向けていた険しい表情をじょじょに消していき、不貞腐れたような顔になる。

大和にしてみれば、自分の彼女を、自分が目の届かない時を狙って連れ出された挙句告白されたのだから、このまま大人しくしているつもりはなかった。
あまつさえ、広田は大和の株を落とした上で自分の方が美琴にふさわしいというようなふざけた事を言っていたのだから、異常なほどに嫉妬深い大和の気が収まるハズがない。


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