恋する季節 *- confession of love -*


それでも、美琴にこんな風に困った顔で見上げられてしまえば、そんな怒りもふしゅふしゅと萎んでいくわけで。
惚れた弱味とはよく言ったもんだなと、そんな風に思いながら大きなため息をついた大和だった。


「もしかして探してくれた?」

広田を追い返した教室で、美琴が聞く。

「ああ、まぁ少しな。
昼休みになって美琴迎えに行ったら広田が連れてったとか言うから焦った」
「ごめん……」
「いいよ。美琴のせいじゃねぇんだし」
「でも、大和の事悪く言われちゃったし……」

一瞬何の事か分からなかった大和だったが、チャラチャラしてるとか遊んでるとか、と美琴に言われてようやく広田に言われた事を思い出す。

「ああ、あれな。別に俺は広田にどう思われてようがどうでもいいし」
「……本当に?」

疑うように聞く美琴に、大和は苦笑いを浮かべた。


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