恋する季節 *- confession of love -*


完全に浴衣への褒め言葉だと受け取られてしまった事に気づいた大和が訂正しようとするも、そんなふたりの様子を気に入らないと感じた大和の取り巻きがふたりの間に割って入る。

そのせいで、ふたりはそれぞれ弾き飛ばされてしまい、気付いた時には大和は浅海を含んだ数人の女子に囲まれていて、振り出し状態だった。

そんな女子からひとり弾かれた美琴にケガがないかとすぐ視線を移すと、美琴は大和に微笑んだ後、近くにいた彩乃と何かを話して携帯を取り出す。

とりあえず転んだりはしていない事に安心してから、そういえば美琴が写真がどうのと言っていた事を思い出して、ああこれからふたりで写真を撮るのかと判断した。

「俺も写真撮りてぇなー……」
「嘘っ! 私も!」
「え?」
「黒崎くんと写真撮りたい人、ここに一列!」
「……え?」

迂闊にもらした一言のせいで、取り巻き系女子ひとりずつとの写真撮影会が始まったのは言うまでもない。
近くではNランドのメインキャラクターのひとつであるアヒルとの写真を撮るために大行列ができていて。

大和はそんなアヒルにこいつも大変だなと同情しつつ、10人弱の女子との撮影会を不貞腐れた表情でこなした。


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