絶滅危惧種『ヒト』
「最近になって特に思うんだが……間違ってるんじゃないだろうか……」


「間違ってるって何が?」


「今まで俺がして来たことがさ」


「え? 何言ってるの? 父さんは今までに何人……イヤ、何千人もの命を助けてきたんだよ」


直樹はいつも自身に満ちて医療に携わる父の口から、初めて聞く弱気な言葉を、ムキになって否定しようとした。


「なぁ直樹」


「え?」


「オマエ……一本の電話で助かる命があるってCM知ってるか?」



「え?」


一体何を言い出すのか?


直樹は眉をしかめた。

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