【短編】俺の可愛い妹
いや、だって。
さっきは『抱いて』とか言ってたくせに、たかが“H”って言葉で顔を赤らめるから。
俺が聞いた意味は、そっちじゃなかったしな。
「他の女と遊んで欲しくないんだろ?」
コクンと小さく頷いたのを見て、また頭を撫でた。
「わかってる。今までのは俺が悪かったんだよ」
「え?」
「大人の葛藤があったわけ」
「かっとう?」
「そ。でも、もういいわ。そんなの止めたから」
「……意味がわかんない」
難しそうな顔をして考える梓衣の頬にそっと唇を付け、
「本能のままに生きる事にしたから」
そう言った俺に、やっぱり梓衣は難しい顔をしたままだった(笑)
でも正直なところ。
本能のままに生きる。と、好きだからこそ抱きたくなるわけで。
これは、やっぱり難しいのかもしれないな。
【END】
→陽未の後書