【短編】俺の可愛い妹



いや、だって。



さっきは『抱いて』とか言ってたくせに、たかが“H”って言葉で顔を赤らめるから。

俺が聞いた意味は、そっちじゃなかったしな。



「他の女と遊んで欲しくないんだろ?」



コクンと小さく頷いたのを見て、また頭を撫でた。



「わかってる。今までのは俺が悪かったんだよ」

「え?」

「大人の葛藤があったわけ」

「かっとう?」

「そ。でも、もういいわ。そんなの止めたから」

「……意味がわかんない」



難しそうな顔をして考える梓衣の頬にそっと唇を付け、



「本能のままに生きる事にしたから」



そう言った俺に、やっぱり梓衣は難しい顔をしたままだった(笑)



でも正直なところ。

本能のままに生きる。と、好きだからこそ抱きたくなるわけで。


これは、やっぱり難しいのかもしれないな。




【END】


→陽未の後書
< 55 / 57 >

この作品をシェア

pagetop