あの時、甲子園で
入部


今年も夏が来た。

甲子園の季節だ。


セミが鳴り始めた8月、小さい頃に甲子園をお父さんと見に行った記憶が蘇る。
お父さんと見に行った試合は、お父さんの母校が出ていた。やっぱりお父さんは盛り上がっていたけど、私はまだルールも何も分からなかった。でも一つだけ明細に覚えていることがある。それは、レギュラーじゃない1年2年生の野球部員が応援歌を歌い、レギュラーを励ましたり勇気ずけたりしている姿だった。


私はその瞬間なぜか高校野球に関わりたいと思った。



「35番 尼川美羽」

「はい!」


私は野球で有名な私立高校に入学した。
私立高校とあって、やっぱり合格するのには勉強が必要だった。でも甲子園のことを考えると、さほど勉強はキツイと思わなかった。

私は1年9組。野球部がいる体育科コースは1年10組だった。
…隣のクラス。このとき私はひそかにガッツポーズをし、体育館をあとにした。


体育館から長い廊下を進むと、1年9組と書かれた表紙があった。その隣には、1年10組の文字。教室の中には、すでに礼儀正しく座っている野球部員。隣の教室に憧れの野球部員がいることに私は胸がドキドキした。

新入生の心へなどのどうでもいいロングホームルームが終わる頃には、前後の席の人と仲良くなれた。それほど長かったホームルーム。それが終わると、野球部の顧問の所まで走った。
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