スキというキモチのカタチ。
お昼のランチを楽しむため。



とかなんとか美来が言うので、ほんっとに仕方なくcat walkにやってきた。


週末、てんやわんやの痴話喧嘩で迷惑をかけたばかりなのに、顔を出しにくいどころかマスター・茅部の告白に未だ何も返事をしていない状態で。



居辛い。




「ランチふたつね!食後にホットコーヒーふたつ‼」



相変わらずな適当オーダーをする美来にどこまで話したっけな、と思い出す。


「で?王子様は結婚前提で親に挨拶まで済ませちゃったわけ?」

「ざっくり言うね…。間違ってないけ
どさ…。」



掻い摘んで、要約されて、そんな感じです、ハイ。

小さく頷く。



「このは…もしや王子様とセックスした⁉」


「ばっ⁉美来ちゃん⁉」


何を何を何を言い出すのか⁈この人は!


「いやだって、顔が違うんだもん。
愛されましたーってオンナの顔してるよ、このは。

色気でたねぇ。

あたし言ったでしょ?愛されたら綺麗になるんだよ、オンナって。」





そうかもしれない。



しれないが…。



「もう少しオブラートに包んでモノ言えない?恥ずかし過ぎる…。」


「あんたとあたしの間でオブラートもくそもあるかっての。
幸せなんだね、このは。よかったね。」




「よくねぇよ。」



2人の会話に突如入り込んできたのは。

「マスター⁉」
「リュウだってば、このはちゃん。」



イヤー‼

1番どうしたらいいのかわからない相手が登場しちゃったよー‼




「あの男、なんなわけ?オレの腕の中からこのはちゃん掻っ攫って行きやがって。」


「あーのー、えー、それはですね」
「あ、このはの彼氏!」




またしても!



またしてもざっくり切ったよ、この人‼




「彼氏いないって言ってなかった⁈」

「あ、だからね、あの時はまだ彼氏じゃなかったんだけど、あれがきっかけで彼氏になったのよ、マスター。
残念ね〜、失恋決定よ?」



本人そっちのけで美来が全てを話してくれる。



(ま、いっか。ホントの事だし。)



「マジで?」


このはの顔を覗き込む様にして茅部が問いかける。


「あ、ハイ。ホントです…。」




申し訳ない様ななんというか…。



「あの男に飽きたらいつでもゆって。オレ、待ってるから。」


なんとも言えない表情で茅部は言うと、ランチを置いてカウンターに戻って行った。



「美来ちゃん、もう少し柔らかく伝えて欲しかったよ…。」


取り敢えず、伝えるだけ伝えなきゃ。



気負いは空振りに終わった。



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