スキというキモチのカタチ。

このはの想い。

社会人になって丸1年を過ぎて、もうすぐ2年になろうかという頃。



会社での立ち振る舞いも慣れて親しい友人も出来て。


合コンだ出会いだ恋愛だと周りが色めき立っているのを見ていて。



(アタシ……なんだか乗り遅れた感満載なんだけど…。)



お昼の休憩も終わり、デスクで午後からのデータ入力をしていたこのははため息をついた。

別にそういう賑やかな場が嫌いなのではないし、寧ろ静かな方のが苦手だし。


お酒の場だって嫌いじゃない。



歓送迎会にはいつも参加してるし。







でも。




全くもってお声がかからないのは何故だろう?






「ねえ、美来ちゃん。」





入社以来仲良くしている同じ総務課の高杉美来(たかすぎ みく)に話を聞いてもらおうと、独り脳内会話していたこのはは振り向きざまに彼女に問いかける。





「アタシって色気ない?」







「ぶっ!!!」






突然の会話&意味不明な問いかけに思いっきり吹き出した美来は、至って真面目な顔をしているこのはに向かって人差し指でビシッと指差し、言葉を返す。







「ない!全くもってないよ、このは‼」





…力説しなくたって…。





「んじゃさー、どうやったら色気って出るの?そもそも色気って何?女子力UPとかみんないうけど、アタシには女子力の意味すらわかんないよー。」


デスクに突っ伏し美来に愚痴る。




「じゃあさ、今晩色気や女子力について語っちゃう?」


「何よ、ソレ(笑)

ただ飲みたいだけなんじゃない。」


どうせ仕事終わって帰ってもやる事なんて何もないんだけどさ。






「彼氏とデートとかないの?」



ちんちくりんなアタシと違って美人さんな美来には当然彼氏がいる。


しかも、営業課の課長の瀬戸 晋哉さんだ。
年の差9歳。でもすっごくお似合いだし、仲良し。羨ましい限り。

「あ〜、晋哉さんも今日は飲み会だしね〜。」




それってつまり…。






「美来ちゃん、暇だからってアタシを誘ったわね…。」


「あははは!そうとも言う‼」



いいんだけどさ。別に。話も聞きたいし。


「じゃあ午後の仕事ちゃっちゃと終わらせようね♪」



なんとか女子力なるものを身につけて、色気で彬ちゃんを落とせないもんかな。










…ムリか。






はぁ…。


こんなにスキなのにな。

なんで彬ちゃんは年上なのかな。
ていうか、彬ちゃんの好みってどんなんだろ。


メールして聞いたら…グーで殴られそうだからやめとこ。


(そういやぁ、朝のお見合い話、否定しなかったな〜。)




ふと、今朝の彬との会話を思い出す。



電車が揺れてふらついたら、がっしりした腕で支えてくれた。


トワレかな。

いい匂いがした。


彬ちゃんの匂い。




思い出すだけで胸がキュンとなって苦しかった。






他の誰かをスキになればこんな苦しい想いをしなくて済むのかな。



お見合いか…。




どんな人だったんだろ。

綺麗な人かな。








また胸がキュンと痛んだ。






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