サンドリヨンは微笑まない
もう痛まない古傷。
「前に、ちょっとね」
「事故?」
「ううん、逃げたときに」
「姉貴に、やられたとか」
「違う違う。お姉ちゃんは関係ないよ」
袖を下ろす。遼の目はすっかり覚めていて、安堵する。
「それ、何かに出すの?」
「出す予定はねーな。衝動で描いた」
「遼は衝動でものを描くと時間を忘れるんだ」
意外な面に笑う。
あのちゃんとしている遼が、なんて。
誰でもそういうのはある。
人間に完璧なんてない。ロボットじゃないんだから。
もし完璧な人がいたら、それはそれで、欠陥っていうのが欠如してる。