サンドリヨンは微笑まない

非常階段まで上って、校門の方を眺めた。

「もしもし」

『あんた、何組?』

「五組だけど…」

『五組って何…は、装飾?』


誰かと話している声。何のことを言っているんだろう…装飾?

ハッとひとつの考えが頭をよぎって、校門の方へ目を細める。

遼の姿と、隣に女の人。


「あ、うん、装飾」


あれ、のぞみさんだ。


『じゃあ今どこにいんの?』

「えっと…、校舎内」

『今すぐ出て来』


パッと急に遼の顔がこっちを見た。

驚いたけど、この距離じゃ見えないだろうと高を括っていた、のだけれど。



< 243 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop