サンドリヨンは微笑まない
非常階段まで上って、校門の方を眺めた。
「もしもし」
『あんた、何組?』
「五組だけど…」
『五組って何…は、装飾?』
誰かと話している声。何のことを言っているんだろう…装飾?
ハッとひとつの考えが頭をよぎって、校門の方へ目を細める。
遼の姿と、隣に女の人。
「あ、うん、装飾」
あれ、のぞみさんだ。
『じゃあ今どこにいんの?』
「えっと…、校舎内」
『今すぐ出て来』
パッと急に遼の顔がこっちを見た。
驚いたけど、この距離じゃ見えないだろうと高を括っていた、のだけれど。