サンドリヨンは微笑まない

あたしがここで築いてきたものは、その程度だったんだ。

だって、遼も藤堂さんも岸田さんも平井さんもわざわざここまで来てくれた。


「弁護士って、すごいね。頭良くないと出来ないじゃん」

「頭の悪いあんたには無理ね」

「頭の良い所の血が繋がってればねー。でも芸術的センスはお母さんから沢山貰ったから」

「…モデル、続けるの?」


電車が来た。

お姉ちゃんは入場券しか買っていないから、ここまで。

岸田さんのこと。仕事のこと。

あっちに帰ってからも決断することが、沢山ある。


「ちゃんと、自分で決めるよ」



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